魚介類を異様なまでに取り上げ続ける当ブログ。
これまでにも、スーパーで見つけた魚を買ってきては、塩焼きや刺身、煮付けなどにして食べてきました。
そんな当ブログが今回手に入れたのは、珍魚でも、名前を聞いたことがない深海魚でもありません。
それがこちら。

マダイです。
珍しさだけで記事を支えてきた当ブログに、ついに魚の王様がやってきました。
今回のマダイは、全長30cmほど。
魚焼きグリルの網へ丸ごと乗せると、かなりの存在感があります。
マダイの塩焼きといえば、魚へ塩を振って焼くだけの、非常に単純な料理です。
しかし、丸ごとのマダイを本当においしく焼こうとすると、話は少し変わってきます。
- 塩はどれくらい振るのか
- 塩を振った後、どれくらい置くのか
- 厚い頭と薄い尾へ均等に火を入れるにはどうするのか
- ヒレを焦がさず、皮を香ばしく焼くにはどうするのか
- 魚焼きグリルで何分焼けばよいのか
適当に塩を振って焼いても、マダイなので普通においしくなるでしょう。
ただ、せっかく丸ごと一尾を焼くのであれば、皮は香ばしく、身はふっくらと仕上げたいところ。
そこで今回は、塩の量、置く時間、日本酒、米油、化粧塩、魚焼きグリルの火加減まで細かく考え、現時点で最もおいしいと考えるマダイの塩焼きを作っていきます。
それでは、いってみましょう!
そもそもマダイとはどんな魚なのか
実際に調理する前に、マダイがどのような魚なのかを軽くおさらいしておきます。

マダイは、スズキ目タイ科マダイ属に分類される海水魚です。
淡い紅色の体に、コバルトブルーの小さな斑点が散っているのが特徴。
今回購入したマダイにも、体の表面へ青く光る斑点が確認できます。
マダイとよく似た魚にキダイ(レンコダイ)がありますが、キダイにはマダイのような青い斑点がなく、目から口にかけて黄色みが強いのが特徴です。

水族館や鮮魚コーナーで似たようなタイを見つけた際には、体の青い斑点を確認すると、多少は見分けやすくなるかと思います。
また、マダイは「魚の王様」とも呼ばれ、古くから祝いの席で使われてきた魚です。
「めでたい」という語呂合わせもあり、結婚式や正月、お食い初めなどでは、尾頭付きの塩焼きが並ぶこともあります。
春の産卵前に栄養を蓄え、美しい桜色となったマダイは、桜鯛とも呼ばれます。
普段から見慣れている魚ではありますが、改めて見ると、体色も斑点もかなり美しい魚です。
祝いの席で選ばれ続けてきたのも、味だけでなく、この見た目の良さが大きいのでしょう。
マダイの究極の塩焼きの材料
- マダイ:1尾(30~35cm程度)
- 塩:下処理後の魚の重量の1.1%
- 日本酒:小さじ1~2程度
- 米油:数滴
- 化粧塩用の塩:適量
化粧塩については、この1.1%とは別に用意します。
化粧塩は身へ味を付けるためではなく、ヒレの形を残し、焦げすぎるのを防ぐために使用します。
マダイの究極の塩焼きの作り方
1.マダイのウロコを取り除く
まずは、ウロコ取りを使い、尾から頭へ向かってマダイのウロコを取り除きます。

マダイのウロコは大きく硬いため、包丁の背でも取れますが、専用のウロコ取りを使ったほうが作業は楽です。
胴体だけでなく、頭、エラぶた、胸びれの周辺にも細かなウロコが残っています。
指で表面を触り、引っかかる部分がないか確認しながら取り除いてください。
なお、マダイのウロコはかなり遠くまで飛びます。
調理中には見当たらなかったウロコが、数週間経って台所の端から発見されることもざらにあります。
可能であれば、大きな袋の中や、シンクの中で作業するのが安全でしょう。
2.エラと内臓を取り除く
ウロコを取り終えたら、エラぶたを開き、エラの付け根を切って取り外します。

続いて、腹側へ浅く切れ目を入れ、内臓を取り除いてください。
腹の中には、背骨に沿って血合いや黒っぽい膜が残っています。
包丁の先で血合いへ軽く切れ目を入れ、歯ブラシなどを使って、流水できれいに洗い流します。
内臓を取るだけで終わらず、腹の中に残った血と膜まで掃除するのが、臭みを残さないための重要な工程です。
魚を洗い終えたら、表面と腹の中の水分をキッチンペーパーで完全に拭き取ります。
3.裏側へ斜めの切れ目を2本入れる
盛り付けたときに下になる面へ、斜めの切れ目を2本入れます。
深さは、骨へ届く程度。
30cmを超えるマダイは身に厚みがあり、そのまま焼くと、表面へ焼き色が付いても骨の周辺へ火が通りにくいことがあります。
切れ目を入れることで、厚い胴体部分へ均等に熱が入りやすくなります。
※ちなみに、今回は筆者のうっかりで切れ目を入れ忘れました。。。
4.魚の重量に対して1.1%の塩を量る
下処理を終えたマダイの重量を量り、その重量に対して1.1%の塩を用意します。
味付けはほとんど塩のみなので、キッチンソルトではなく、旨味のある釜炊きの塩や岩塩を使用することをオススメします。
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ちなみに筆者は、サラサラしていた方が調理に使いやすいので、岩塩を使用しています。
用意した塩は、おおよそ以下の割合で振り分けます。
- 魚の表面:7割
- 腹の中:2割
- 切れ目、頭周辺:1割
魚の表面へ塩を振る際は、30cmほど上から振ると、全体へ均等に広がりやすくなります。
身の厚い背中や腹側には丁寧に振り、身の少ない尾やヒレの付近は少し控えめにします。
腹の中にも塩を入れ、切れ目の中へも軽くなじませてください。
5.冷蔵庫で30~40分置く
塩を振ったマダイは、バットや網の上へ乗せ、冷蔵庫で30~40分置きます。

時間を置くことで、塩が身へなじみ、表面には余分な水分が出てきます。
この水分を取り除くことで、魚の臭みや水っぽさを抑えられます。
ただし、今回のサイズのマダイを1時間以上置くと、身が必要以上に締まり、硬く感じる可能性があります。
マダイは冷蔵庫で30~40分。長く置けば置くほどおいしくなるわけではありません。
時間が経ったら、表面と腹の中へ出てきた水分を、新しいキッチンペーパーで丁寧に拭き取ります。
6.日本酒を薄く塗って5分置く
水分を拭き取ったマダイの表面と腹の中へ、日本酒を薄く塗ります。

使用する量は小さじ1~2程度。
大量にかけるのではなく、指やキッチンペーパーで、ごく薄く伸ばします。
そのまま5分ほど置き、表面へ酒が多く残っている場合は、キッチンペーパーで軽く押さえてください。
酒の香りを付けるというより、魚の香りを整え、焼いている間に身が急激に乾燥するのを抑える狙いです。
7.米油をほんの薄く塗る
続いて、マダイの皮へ米油をほんの薄く塗ります。
量は数滴で十分です。
キッチンペーパーや指を使い、皮の表面へ膜を作るように広げます。
米油を薄く塗ることで、皮へ熱が伝わりやすくなり、香ばしい焼き色を付けやすくなります。
ただし、油を大量に塗ると、塩焼きというより揚げ焼きのような仕上がりになります。
皮がわずかに艶を帯びる程度で構いません。
8.ヒレへ化粧塩をする
尾びれ、背びれ、腹びれ、胸びれの先端へ、化粧塩を付けていきます。
ヒレの先端を軽く濡らし、塩を2~4mmほどの厚さになるように押し付けます。
化粧塩には、焼き上がりを美しく見せるだけでなく、薄いヒレが黒く焦げ落ちるのを抑える役割があります。
焼いている途中で尾びれやヒレだけが早く色付いた場合は、アルミホイルを被せてください。
9.魚焼きグリルを強火で3~5分予熱する
マダイを入れる前に、魚焼きグリルを強火で3~5分予熱します。
冷たい状態から焼き始めると、グリルの温度が上がるまでに魚の水分が抜け、皮も香ばしく仕上がりにくくなります。
グリルが温まったら、マダイを盛り付けた際に表となる面を上にして入れます。
魚の頭は、グリルの奥側へ向けてください。
一般的な魚焼きグリルは奥側の火力が強いことが多く、身が厚く火の通りにくい頭側を奥へ置くことで、全体を均等に焼きやすくなります。
10.魚焼きグリルで焼く
いよいよ、グリルで焼いていきます。

焼き時間の目安としては以下の通り。
- 盛り付ける面を上にして、中火で7~8分
- 裏返して、中火で7~9分
- もう一度盛り付ける面を上に戻し、強火で約2分
- 合計16~19分程度
最後に盛り付ける面をもう一度上へ戻し、強火で焼くことで、見える側の皮を香ばしく仕上げます。
ただし、魚の大きさやグリルの火力によって焼き時間は変わります。
焼き時間だけを信じるのではなく、皮の色、肉汁、骨際の身を見て判断することが重要です。
11.焼き上がりを確認する
以下の状態になっていれば、焼き上がりの目安です。
- 目が白くなり、少し前へ出ている
- 切れ目から出る肉汁が透明
- 胸びれを軽く引くと抜ける
- 骨の周辺の身に透明感が残っていない
- 皮へ香ばしい焼き色が付いている
「念のため、あと5分焼いておこう」と考え始めた頃が、白身魚を乾燥させる入口です。
中心へ火が通っていることを確認できたら、グリルから取り出します。
12.焼き上がったマダイを3~5分休ませる
焼き上がったマダイは、すぐに箸を入れず、3~5分ほど休ませます。
焼き上がった直後は、魚の内部で肉汁が動いている状態です。
少し休ませることで、身の中の水分が落ち着き、箸を入れた際に肉汁が一気に流れ出るのを抑えられます。
そんなわけで、完成したマダイの塩焼きがこちら。

尾びれや背びれには白い化粧塩が残り、皮にも香ばしい焼き色が付きました。
マダイの塩焼きを食べてみる
それでは、焼き上がったマダイを食べていきます。

まずは、皮と身を一緒に取って、そのまま食べてみます。
皮にはしっかりと焼き色が付き、香ばしい仕上がり。
米油を大量に使っているわけではないため、油っぽさはなく、焼いた皮の香りだけが強くなっています。
身は箸で簡単にほぐれるほど柔らかく、骨からもきれいに外れます。
マダイらしい上品な白身で、クセは少なく、噛むと淡い甘味と旨味を感じます。
塩を振って30~40分置いたことで、表面だけがしょっぱいのではなく、身の中までほどよく味が入っています。
塩1.1%は、マダイの淡い旨味を消さず、それでいて醤油を使わなくても食べられる塩加減でした。
特においしいのは、皮と身の間、頬肉、カマ、骨の周辺。
背中の大きな身は食べやすいのですが、味が濃い部分は頭や骨の周辺に集まっています。
丸ごとの魚を焼いた以上、骨の周辺を箸で地道に掘り進めるところまでが本番です。
終わりに
今回は、30~35cmほどのマダイを丸ごと使い、現時点で最もおいしいと考える塩焼きを作ってみました。
今回の作り方をまとめると、以下のとおりです。
- 腹の中の血合いや黒い膜まできれいに洗う
- 裏側へ骨に届く切れ目を2本入れる
- 塩は魚の重量に対して1.1%
- 冷蔵庫で30~40分置く
- 日本酒を塗って5分置き、米油を薄く塗る
- 尾びれや各ヒレへ化粧塩をする
- グリルを3~5分予熱する
- 頭を奥へ向けて焼く
- 焼き上がったら3~5分休ませる
完成したマダイは、皮が香ばしく、身は柔らか。
塩も身の中までほどよく入り、醤油などをかけなくても、マダイの甘味と旨味を楽しめる仕上がりになりました。
塩1.1%、冷蔵庫で30~40分、日本酒と米油を薄く塗り、予熱したグリルで頭側からしっかり焼く。
これが、今回のマダイの塩焼きの結論です。
マダイの塩焼きは、塩を振って焼くだけの料理ではあるものの、工夫次第で味わいが全く違ってきます。
丸ごとのマダイが手に入った際には、ぜひ今回の方法で試してみていただければと。
ちなみに、当ブログでは筆者の料理研究の末にたどり着いたガチレシピや、飲食店の再現レシピなども公開しています。
是非ともサイトをブックマークしてご覧いただければと。
それではー。
参考資料
鳥羽水族館「マダイ」
JAMSTEC BISMaL「Pagrus major マダイ」
豊洲市場協会「マダイ 桜と開花を競うように」
ベターホーム「化粧塩」
大日本水産会「鯛の塩焼きを作ろう!」







