デイヴィッド・ゴギンズの『Can’t Hurt Me』が凄まじいので紹介したい

書籍

気になったビジネス本や自己啓発本があれば、読んで内容紹介を試みている当ブログ。

今回も読んでとても感動した本があったので、紹介したいと思います。

それがこちら。

デイヴィッド・ゴギンズ『Can’t Hurt Me』という本。

著者のデイヴィッド・ゴギンズは、元海軍特殊部隊ネイビーシールズとして活躍した方で、100kmを超えるウルトラマラソンを50以上も走破し、17時間で4,030回の懸垂を達成しギネス記録を得たなど、とにかくタフでパワフルな人物。

アメリカでは「世界一タフな男」として有名で、彼のストイックさや目標達成に対する姿勢から、彼の名前は動詞になっているほど。

例えば、こんな感じ。

“I really Gogginsed my workout today.”
→「今日のトレーニングはゴギンズった(自分を限界まで追い込んだ)」

この本は、そんなストイックでパワフルなゴギンズ氏の壮絶な半生を語った自伝となっています。

個人的にこの本がすごいと思ったところは、「誰もそこまで求めていないのに、自らの意思で追い込んでいく」というその姿勢

ノンフィクション作品に触れていると、例えば第二次大戦期に強制収容所で生き延びたヴィクトール・フランクルの『夜と霧』や、大西洋を破れたゴムボートで二ヵ月以上漂流することになったキャラハンの『大西洋漂流76日間』など、逆境の中でなんとか意志を保ち生き延びようとする本はいくつも見られます。

それらも非常に多くの学びがある一方、この著作のすごいところは、環境に甘んじて生きれる中でも、状況を変えるためにとにかくハードに自分を追い込んでいく点

ネイビーシールズに入るために3か月で45kgの減量に成功し、過酷なことで有名なネイビーシールズの選抜試験に3度も挑戦し、両足を骨折した状態で乗り越えました。

しかしそんな彼も、ネイビーシールズに入る前は最低賃金の仕事をこなす140kgの巨漢だったとのこと。

今回は、そんな彼の幼少期からネイビーシールズに入るまでの人生と、彼が持っているいくつかの重要な考え方について紹介していきたいと思います。

ゴギンズの半生① 暴力と差別、貧困の幼少期~青年期

アメリカ・インディアナ州で生まれたゴギンズは、ナイトクラブを経営する父親に幼少のころから奴隷のように働かされることとなります。

暴力も日常的で、夜通し働かされて意識朦朧としながら小学校に行く生活のなかでは勉強をする余裕もなく、学習障害の診断を受けます。

やがて、母親と夜逃げのようにブラジルへと逃げることになりますが、生活は不安定で、さらには学校で唯一の黒人であることから厳しい差別にも晒されました。

高校時代には差別はさらにエスカレートしていき、勉強をカンニングでやり過ごすなか、唯一のやりがいをもって熱中していたバスケットボールでは「チームへの献身度が足りない」と言われてレギュラーチームから外されます。

さらには、追い打ちをかけるように、仲の良かった義父を事故で失ってしまいます。

ゴギンズの半生② 空軍試験での逃避

絶望の中で、空軍のパラレスキュー隊に入隊することに希望を持ち、入隊試験を受けます。

水への恐怖を感じながらなんとか試験を乗り越えていくなか、健康診断で「鎌状赤血球形質」を持っているとの診断が下ります。

これは、遺伝性の貧血病に陥る可能性があることを示すもので、試験を続けることはできたものの、試験の続行を問われたときに、ゴギンズは断念することを決めます。

パラレスキュー隊に入れなかったゴギンズは空軍で4年間務めた後除隊。その後は害虫駆除の仕事につきます。

この頃には本人曰く「楽な道を選ぶ」のが定着してしまっていて、過食のために体重は140kgに達していたようです。

ゴギンズの半生③ ネイビーシールズへの挑戦

そんなある夜、深夜テレビでネイビーシールズのドキュメンタリーを目にします。氷水に浸かり、泥まみれになりながら笑う彼らの姿に衝撃を受けました。

「こんな人間になりたい」、と。

その瞬間、心に火がつきます。しかし現実はあまりにも遠いものでした。体重は基準を大幅に超え、走ることすらまともにできない状態でした。

ゴギンズはその夜、バスルームの鏡に紙を貼り、「お前は太りすぎだ」「このままじゃ一生終わる」と現実を突きつけました。

毎日自分の目を見て現状を直視し、「ネイビーシールズに入る」という目標を書き、行動計画を細かく貼り付けていきます。

(これが後に紹介する『自分と向き合う鏡』です)

ネイビーシールズに応募するためには、3か月で45kg以上落とす必要がありました。

また、その基準を満たしても、入隊試験のためには筆記試験があります。

学習障害を抱えた彼にとって、それはとても困難な壁でした。

そうして彼は、常識を超えた生活に突入します。朝は4時に起きて数時間の有酸素運動、仕事後はジムでウエイトトレーニング、夜は再びランニング。

その合間に、勉強もしていきます。

食事は鶏肉と野菜中心に制限し、1日のカロリーを極限まで落としました。

そうした努力の結果、無事に基準まで体重を落とし、ネイビーシールズの選抜課程BUD/Sに進みます。

ゴギンズの半生④ BUD/Sへの3度の挑戦 

このBUD/Sは24週間にもおよぶ選抜訓練で、その内容は常軌を逸するほどにすさまじく、特にヘルウィークと呼ばれる期間は、睡眠時間は長くても4時間というほどに過酷なものでした。

印象に残っているものを一つ挙げると、訓練生がチームを巨大な丸太を持ち上げて運んだかと思うと、教官の「水に入れ」の一言で海水の中に浸かります。

その次に砂の上で転がせられ、懸垂をさせられます。

そうすると、身体の砂が重たく、より懸垂が過酷になるわけですね。

そのまま、夜は海水に浸った衣服をまとったまま野外にいるため、低体温症で歯をガチガチ鳴らしながら過ごすというすさまじい状況。

その過酷さは書籍の文章を読めばまじまじと伝わってきますが、動画もあるので気になる方はこちらからどうぞ。

7:55あたりがヘルウィークの部分です。

そんなヘルウィークをゴギンズも迎えるわけですが、その最中、ゴギンズは両側肺炎の診断を受けて脱落してしまいます。

2度目の挑戦も、膝の骨折の為に脱落。

膝が完治しないまま挑んだ3度目の挑戦は、訓練中に両足の脛骨にストレス骨折を負ってしまい、さらに膝の靭帯も損傷してしまいます。

BUD/Sは、健常な状態でも突破困難な訓練です。

これをゴギンズは、なんと両足が折れた状態で、板で足を固定しながらやり切りました。

そうして、BUD/Sを突破してすべての入隊試験を終え、ゴギンズは晴れてネイビーシールズに入隊することになったわけです。

デイヴィッド・ゴギンズの大事な考え方

では、そんな凄まじい人生を乗り越えて数々の成功と失敗を経験してきたゴギンズが大事にしている考え方について、いくつか紹介していきます。

40%ルール

これは、人間が「もう限界だ」と感じたとき、実際には自分の能力の40%しか使っていないという考え方です。

残りの60%は「脳のセーフティリミッター」によって封じられており、体や心が壊れないように脳が防御している状態。

このリミッターを少しずつ解除していくことで、本当の限界に近づき、想像を超えた成長ができるとゴギンズは説いています。

本人から学びたい方はこちらの動画をどうぞ。

自分と向き合う鏡

バスルームの鏡に自分を映し、現実を直視しながら「今の自分」に責任を取る習慣のこと。

先ほどの半生の紹介の中でも出てきましたが、ゴギンズは10代後半、太りすぎで将来も見えず、自己肯定感がゼロの状態でこの習慣を始めました。

方法は、鏡にポストイットを貼り、目標や厳しい言葉を書いて毎日確認だけです。

しかしこれの持つ意味は深く、それは自分を甘やかすのではなく、「本当の現実」を突きつける場とすることにあるのです。

■ 具体的なやり方

1.鏡の前に立つ

バスルームの鏡や姿見を使う。重要なのは「毎日目に入る場所」にあること。

2.現状を正直に書き出す

「太っている」「勉強ができない」「怠けている」など耳が痛い現実を書く。

3.目標を小さく分解して貼る

「毎日3km走る」「砂糖をやめる」「単語を10個覚える」など達成可能な行動レベルに落とす。

4.毎日自分と対話する

鏡を見て声に出し、自分に問いかける。

「お前は今日、約束を守ったか?」

クッキージャー

過去に自分が乗り越えた困難や成功体験を「クッキー」として心の中に貯めておき、苦しいときにその「クッキー」を取り出して自分を支える考え方。

ゴギンズが子どもの頃、こっそりクッキーの瓶からお菓子を取り出す楽しさをイメージしたことから名付けられています。

これをすることで、「俺はあの時もやり遂げた」と思い出し、今の痛みを耐える力に変えることができます。

使い方

1.過去の勝利を記録する

 乗り越えた困難、達成したこと、諦めなかった経験を書き出す。
 大きな出来事だけでなく、「雨の日にランニングを休まなかった」など小さな成功もOK。

2.苦しいときに取り出す

 「無理だ」と思った瞬間に、「過去の自分の証拠(クッキー)」を思い出す。

 例:「あの時できたんだから、今もできる」

3.新しいクッキーを増やす

 挑戦を繰り返し、成功体験を増やすことで「クッキージャー」を豊かにする。

クッキージャーについて本人から学びたい方は以下の動画を観てもらえればと。

終わりに

いかがだったでしょうか。

今回はシールズ入隊までのあらすじのみの紹介でしたが、本著の中ではその後のウルトラマラソン挑戦や懸垂ギネス記録挑戦についても描かれています。

正直なところ、この本の内容は私にとってもすごく貴重なものとなっています。

実際、私は十年以上ほぼ毎日お酒を飲んでいたのですが、この本を読む中で「デイヴィッド・ゴギンズは両足が折れても挑戦しているのに、酒がないと寝られないなんてどういうことだ」と一念発起して、二週間の断酒に成功しました。

そこから酒を飲まずに過ごせているかというと、まだ依存から抜け出せてはいませんが、それだけのパワーがあることの証明にはなるかと思います。

この結果からも、値段の倍以上の価値があったと感じているので、興味のある方は是非読んでいただければと。

本著を読むか迷っている方は、ダメ押しでゴギンズの講演のリンクを貼っておきますので、これを見て「自分に合っているかどうか」を判断してもらえればと。

また、当ブログでは、こういった根性論以外にも、時間管理や様々な考え方などの本についても紹介をしているので、よければこちらも参照していただければと。

それではー。

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