みなさんは、一度は起業に憧れたことってないでしょうか。
自分の会社を持って、誰から指図されることもなく、周囲からは「社長」と呼ばれる生活。
まぁ、実際30万ちょっとあれば株式会社は作れるし、合同会社なら10万足らずで作れるので、「社長」という肩書き自体の価値はそれほどないわけですけれども。
本棚の整理をしていたら、起業に憧れていた若かりし頃に、買ったはいいけれど読んでいなかった本が出てきました。
それがこちら。
本棚の整理してたら、学生の頃起業に憧れて買ったものの読んでなかった本が出てきた。
— 広瀬秋人【読書不要の要約サイト『tapiocaism』】 (@tapiocaism) June 5, 2021
新書のため一瞬で読み終わったから、今から要約してく。 pic.twitter.com/qLZBrLBxjc
『起業の着眼点』。これは、東大の経済学部を卒業して作家や経営コンサルタントとして活躍された、邱永漢という方の著作。実はこの方、外国人初の直木賞受賞者であったりします。
この本は2006年の著作とあって、「個人の時代」と呼ばれる以前、さらにはリーマンショックよりも前に書かれたものですが、現在でもほとんど同じことが言える内容だったので、紹介していきます。
また、会社設立とまでは行かなくても個人事業主にしても通じる内容になっているので、このコロナ禍で働き方に疑問を持っている方も参考にしていただければいいかなぁと思います。
それでは、いってみましょう!
サラリーマンでは金持ちになれない!
この本の前半部分では、日本のサラリーマンという働き方について触れています。
言い分としては、おおよそ以下の通り。
・サラリーをもらっていては金持ちになれない
・年功序列は崩壊しかかっている
・サラリーは努力の対価ではない
(サラリーは会社の利益を会社の役職ごとに振り分けて支払われるものであって、努力の対価にはならない)
・会社の仕事に融けこめなければ自分の生きがいとならない
その上で、「金持ちになる」「人生を通してやりがいを作る」といった目的意識を持っている人に対して、起業を薦めています。
起業しても、「努力=結果」ではない
成功を夢見て起業をする人は数多くいるわけです。
著者の方自身、経営コンサルタントをされる中で、起業後の経営を見る中で、「どれだけ努力をしてもそれが成果につながるわけでは必ずしもない」ということに気づかれたそう。
では、どういう場合が成果につながるのかというと、努力ではなく「儲かるビジネスを見つける」ということ。
その時代によって、「儲かるビジネス」というのは違います。
百貨店が絶頂にあった時代もあれば、スーパーの時代もあり、ネット販売の時代もあるわけです。
また、すでに儲かっている企業であっても、ダイエーや三洋電機、ANAといったように、方向性を間違えれば崩れてきます。
全ては、ビジネスの「着眼点」が焦点になっているとのこと。
では、どこに着眼をして起業をすればいいのでしょうか。
次はその根幹の部分について触れていきます。
ビジネスの「スキマ」を探せ!
著者が述べている、成功を分ける「起業の着眼点」とは、「ビジネスのスキマ探すこと」です。
どういうことかというと、同じやり方をしていても、そこには競合がたくさんいるので、どれだけ努力しても成功にはつながりにくい場合が多いわけです。
そこで、今ある社会の中で、他と差別化ができるような、競争に入り込む「スキマ」を見つけることが重要だと述べられています。
ドンキホーテ、ユニクロ、ダイソーといった企業は、そういったスキマを突いてこの2、30年で急成長した企業ではないでしょうか。
(もし興味があればググってもらえればたくさん情報が出てくると思います)
「でも、これだけ経済が発展していたら、もうスキマなんかないんじゃないか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、著者の方は「スキマが埋まればまた次のスキマが生まれる」と述べられています。
本書ではその「スキマ」の例として、戦後の小売業を取り上げられています。
戦後、スーパーの登場によって、商店街の店はたちまち窮地に立たされたわけです。
スーパーに行けば一箇所で欲しいものがほとんど買えて、値段も商店街よりお手頃。当時あった店の「スキマ」を突いたわけです。こうなれば、商店街の小さな店では太刀打ちできません。
すると、商店街の店主たちはどうしたかというと、自分たちの商店街を守るために、政治家たちに圧力をかけて、「500平米を超える店を出す場合には、その土地の商店街の賛成が必要になる」という大店法を成立させました。
これで商店街が安泰になるかと思いきや、そうはなりませんでした。
この「大店法」が新たなスキマとなったのです。
「500平米を超える店を作ってはいけない」ということを、企業は「500平米以下の小さな店を作って戦え」という風に受け取りました。
そうして企業は、ディスプレイ、陳列、仕入れ等様々な経営ノウハウを駆使して、500平米以下の小さな店を商店街の真ん中に構えました。
そうして生まれたのがコンビニです。
このように、社会において、「スキマ」というのはその時代に必ず存在しているとのこと。
そして、その「スキマ」を見極めて、そこを突いた起業をすることが、成功する方法だとのことです。
終わりに
いかがだったでしょうか。
ちなみに、著者の邱永漢さんは、執筆当時(2006年)に今後流行るビジネスについて、「個性のある小さな商売の時代」と語られていました。
もう「個人の時代」と言われるようになって久しいですが、15年も前にこれを予測していた先見の明には、流石だなぁと感嘆しました。
そんな邱永漢さんは2012年に亡くなられているそうですが、著作は400冊以上あるそうです。もし今回の記事を読んで気になった方は、他の著作にも触れてはいかがでしょうか。
それではー。