世は空前のボードゲームブームなわけです。
本屋の一角には大小問わず様々な種類のボードゲームが立ち並び、都会へ行くとボードゲームカフェなる場所で世界各国のボードゲームが遊べると聞きます。
かく言う筆者も、去年はかの有名なボードゲーム『カタン』を友人とプレイして夢中になり、最近もオンライン上で『ドミニオン』をプレイして、これまた夢中になりました。
ちなみに、ドミニオンのオンライン版は拡張パックを除いて基本プレイが無料なので、興味がある方はこちらからどうぞ。
(宣伝とかではないです笑)
そんなボードゲーム熱に湧く日本ですが、最近面白い本を見かけたので、紹介したいと思います。
それがこちら。
中世アンティークボードゲームと言う本。
表紙からして魅力的な本ですが、こちらは中世から20世紀のヨーロッパにおける多くのボードゲームの先祖となった「がちょうのゲーム」を中心に画像付きでいくつも紹介をしてくれている本になります。
読んでいくと、ヨーロッパでの宗教や政治の変遷によってボードゲームもまた影響受け、変わっていく感じが読み取れて、とても面白かったです。
今回は、日本ではあまり聞きなじみのない「がちょうのゲーム」なるボードゲームの説明と、がちょうのゲームをめぐる歴史の変遷、また、がちょうのゲーム以外のゲームもいくつか紹介をしていきたいと思います。
この記事内でも、実際のボードゲームの画像を引用しながら紹介をしていきますので、楽しんでお読みくだされば幸いです。
ガチョウのゲームとは
さて、今回紹介する本の中でも話の中心となっているのが「がちょうのゲーム」と言うボードゲーム。
まずは実際のボードゲームの画像を見てもらいましょう。
このガチョウのゲームですが、端的に言うとサイコロを使ったすごろくのようなゲームです。
無数の派生版が存在しているので一概には言えませんが、最もオーソドックスなルールは以下の通り。
・全63マスで、二つのサイコロの出た目を合わせた分だけ進める。 ・63マス目にピッタリとたどり着いたらゴール。余分に数字が出たら逆戻りする。 ・9マスごとにガチョウが描かれたマスが存在する。ガチョウのマスに止まると、さらにサイコロの目のぶん同じだけ進むことができる。 ・ただし、最初に9が出てしまうとガチョウのマスが続いて9→18→27→36→45→54→63と一回で上がれてしまうため、最初に9が出た場合は、サイコロの目の組み合わせに応じて26か53に進む。 ・58番目に「死」のマスが存在する。このマスに止まると、ふり出しまで一気に戻される。 ・「井戸」「牢屋」というマスもゲームによって存在する。このマスに止まると、他のプレイヤーがこのマスに止まって入れ替わりになるまでは、ずっと止まっていなければならない。 ・その他、あらゆる障害のマスがある。勝者に支払う掛け金を支払うマスや、「宿屋(一回休み)」「迷路(後ろへ戻る)」等々。
このゲームは比較的にすぐ終わることから、こぞってギャンブルに用いられていたようです。
よくファンタジー世界のアニメなのでは、酒に飲んだくれてトランプやサイコロを用いたギャンブルに興じている町民の描写を見かけますが、実際のヨーロッパの世界ではそういったものに加えて、このがちょうのゲームもよく使われていたのかもしれません。
では次に、そんながちょうのゲームの歴史に触れていきましょう。
がちょうのゲームの歴史
そんなボードゲームの先祖であるがちょうのゲームの歴史は古く、15世紀のイタリアまで遡ります。
当時、このがちょうのゲームは大流行し、ゲームを禁止するお触や法律が出されるまでになったのだとか。
その用途は、前述した通りギャンブル。
と言うのも、1ゲームがすぐ終わることと、一気にゴール目前まで進んだと思いきや、一気にふり出しに戻ったり足止めを食らうというスリリングな展開も多く、それが大人たちを熱狂させたようですね。
19世紀頃になると、さすがに大人たちの間では古臭いゲームとしてみなされるようになったようですが、逆に子供たちの間で広がりを見せていったようです。
その際も、ビスケットやキャンディーなどをかけたギャンブルとして使われていたようです。
そんながちょうのゲームですが、教育のために活用していこうという動きも見られ始めてきます。
地理や歴史、天文学、果てはジャガイモの栽培過程を学ぶゲームまで生み出されました。
ちなみに一例を出すと、こちらはフランス国王を学ぶための教育的がちょうゲーム。
また、フランスでは宗教と道徳教育のために使われていたようです。
19世紀を過ぎて資本主義経済の時代に入ると、がちょうのゲームは既に使い古されたゲームとなっていましたが、商品販売促進の広告に使用されることとなります。
まさに時代と共にがちょうのゲームもまた変化してきたわけですね。
7のゲーム、フクロウのゲーム
最後に、がちょうのゲームから離れたゲームも2つほど紹介します。
7のゲームとフクロウのゲームですが、こちらもがちょうゲームと同じくギャンブル用途で楽しまれていたそう。
まずは7のゲームです。
ちなみにこちらはナポレオンをモチーフにしたものですね。
こちらは、1600年頃から伝わるドイツのゲームです。
基本的なルールは以下の通り。
2から12までの数字のマスがあり、サイコロを二つ振って、合計の数字のマスにかけ金のコインを置くか、もしもすでにコインが置かれていた場合は、そのコインを取ることができます。 ただし、2と7と12が出た時は、ルールが違います。 7が出た場合は、コインがすでにあっても、掛け金をさらに置いていきます。 2が出た時は、7以外のマスに置かれたコインを全て取ることができます。 そして12が出た時は、7も含めた全てのマスのコインを総取りすることができます。
フクロウのゲームは、サイコロを2~3つ使ったゲームです。
サイコロの組み合わせによって、掛け金を場に出したり取ったりしていく完全なギャンブルゲーム。
ちなみに画像のBはフラマン語で「支払う」を意味するbetaalの頭文字で、Tは「引き出す」を意味するtrekの頭文字となっています。
例えばB4であれば掛け金4枚を場に出し、T3なら掛け金を3枚得るといった具合ですね。
ちなみに6のゾロ目が出た場合は場に出た掛け金を総取りして、ゲームは仕切り直しになります。
おわりに
いかがだったでしょうか。
歴史を学ぶのは非常に楽しいですが、ボードゲームの歴史もまた非常に興味深かったです。
ちなみに、今回使用した画像は、Giochi dell’Oca e di percorsoというサイトで提供されているものです。
少し古い形のサイトになりますが、興味深いボードゲームが数多く紹介されています。
よければこちらもご覧いただければと。
それではー。