努力せずにやるべきことをこなす『エフォートレス思考』なるものを紹介する

書籍

最近料理やらDIYやらの記事ばかりだったわけですが、そもそもこのブログを始めたきっかけは、自分の学習のために本の要約を書こうと思ったからだったりします。

この間読書量が減っていたわけではないのですが、正直なところ読みっぱなしにしてしまい、記事にできずにいました。

そんななか、今回、久しぶりに本の内容を紹介する記事を書いていきたいと思います。

それがこちら。

グレッグ・マキューンの『エフォートレス思考』という本。

グレッグ・マキューンといえば、なんといってもベストセラー本『エッセンシャル思考』が有名ですね。

前著『エッセンシャル思考』数ある物事の中で本当に人生の中で重要なことに集中をするための方法について書かれていましたが、今回の『エフォートレス思考』は、そんな本当に重要な物事を、どのようにうまくこなしていくかに焦点を当てた本になります。

目標設定をしたものの、途中で挫折してしまったり、モチベーションを維持できずに未達に終わってしまうことは、日々を過ごしているとどうしても生まれてしまいます。

そんな目標や重要な事柄について、いかに努力を最小化して、楽に成し遂げるかについて書かれていますので、少なからず学びになるかと思います。

ちなみに、『エッセンシャル思考』については当ブログで要約していませんが、内容的には『7つの習慣』の時間管理のマトリクスやに近しいものがあるので、よければこちらをどうぞ。

入れる石が多すぎる!

時間管理の話になると、瓶の中の石の例え話がよく持ち出されます。

教授がある日、「クイズの時間だ」と言って、大きなビンを教壇に置きました。

そのビンに、彼はいくつかの大き目な石を詰めました。ビンが一杯になるまで石を詰め、彼は学生に質問をします。

「このビンは満杯か?」

指された学生は「はい」と答えました。

すると教授は、砂利の入ったバケツを教壇の下から取り出しました。

そして砂利をビンの中に流し込みました。ビンの口まで砂利が一杯になりました。

「このビンは満杯か?」教授はもう一度聞きました。

一人の生徒が、「多分違うのでしょう」と答えました。

教授は「そうだ」と笑い、今度は砂の入ったバケツを取り出しました。その砂をビンに注ぎます。石と砂利の隙間に砂が流し込まれ、ビンの口まで達します。

「これでこのビンは一杯になったか?」教授が三度目の質問をします。

学生は声を揃えて「いや」と答えます。

教授は水差しを取り出し、ビンの縁までなみなみと注ぎました。

「僕が何を言いたいかわかるだろうか?」

一人の学生が手を挙げました。

「どんなにスケジュールがきつい時でも、努力をすれば予定を詰め込むことは可能だということです」

「いや違う」と教授は言いました。

「このビンに大きな石を入れようと思ったら、まず最初に入れなければならない。先に砂利や砂でビンが埋まってしまったら、大きな石が入る余地はその後二度とないということなんだ。

君たちの人生にとって『大きな石』とは何だろう?それは、仕事であったり、夢であったり、家族や愛する人であったりするかもしれない。

それを最初にビンに入れなさい。もし君たちが小さな砂利や砂や、自分にとって重要性の低いものからビンを満たしてしまうと、一番大事なものを失うことになるかもしれない」

引用元:2ちゃんねるコピペ

巷では『ビッグロックの法則』とも呼ばれています。

しかしながら、この例え話には問題が一つあります。

それは、大きな石が瓶の中に入り切らなかったら?、ということ。

そもそも入れるべき大きな石が多すぎて、人生の枠の中に収まり切らないことだってあるわけです。

仕事に忙殺され、家庭の問題にも振り回されていたら、運動や食生活といった健康の部分まで手入れができないのは仕方のないことです。

そうなってくると、ただ「重要な物事に集中する」だけではうまく回らなくなってきます。

重要な物事を、より短時間に楽にこなす必要があるわけです。

それが、エフォートレス思考になります。

エフォートレス思考になるための方法

それでは、具体的にエフォートレスにしていくためにはどうすればいいのか。

本書に書かれている中で、個人的に気になったものをいくつか抜粋して紹介していきたいと思います。

ゴールを明確にしたうえで、難易度を下げる

やらなくても済むことを探す、あるいは物事を進める際の難易度を下げるという手法ですね。

プレゼンの資料作成や、動画や記事といったコンテンツの作成をする際、綺麗なスライド、見栄えのいい演出や文面を作ろうと努力してしまいがちです。

それ自体は悪いことではありませんが、「相手にわかりやすく伝える」「商品を購入してもらう」といった目的が明確になっていれば、それを果たすためによりシンプルな方法を探すことは可能です。

例えとして出ていたサウスウェスト航空は、搭乗チケット発行のためのコストを削減しようと考え、eチケットの導入を議論していたそうです。でも、その導入には、200万ドルもの費用がかかるよう。

話し合った結果、搭乗チケットの形式を他社と合わせることをやめて、普通の紙に情報を印刷するという形をとったよう。

元々、コスト削減がゴールであったため、eチケットといったテクノロジーを導入しなくても、たったそれだけのとてもシンプルな形で、安価に問題が解決されたそうです。

楽しめる形に変える

物事に取り組んでいて、どうして途中で挫折するのかといえば、その効果が出てくるのが、行動をしてからずっと先になるからです。

受験勉強をしていても一日で平均点がぐんと上がることはないですし、ダイエットだって、その日のうちに100g脂肪が落ちるということはありません。

その真逆がスロットマシンやSNS、ゲームですね。

即座にレバーを引く、タップする、ボタンを押すだけで、すぐに反応が返ってきます。

我々は、どうしてもすぐに反応が返ってくるものを求め、逆のものは避けてしまいます。

そうであれば、「その作業自体を、その場ですぐ楽しめる形に変えればいいんじゃない?」という発想の転換をすることができます。

別に辛い気持ちを抱えながら作業をする必要はありません。そのため、どのようにすれば楽しめるのかを考えて、作業自体を楽しめるようにすれば、そもそも努力は不要なわけです。

具体的には、重要な仕事と楽しい活動を組み合わせることがよいとのこと。

好きなコーヒーやチョコレートを並べてから執筆を始める。

好きなポッドキャストを聴きながらランニングをする。

歌いながら皿洗いをする。

自分の好きなこと、好きな行動を洗い出しながら、考えてみても面白いかもしれません。

頭の中の不用品を手放す

古くなった目標やこびりついて離れない考え、昔の後悔や怒り、過去の望み。

人生を生きていると、そうしたものはどうしても出てきます。

しかし、そういったものがPCのバックグラウンドで稼働しているプログラムのようにじわじわと脳のリソースを割いていくとのこと。

欠乏マインドでいると、今あるもの、感謝すべきものが見えなくなってしまいます。

「拡張ー形成理論」という心理学の理論によれば、ポジティブな感情は良い影響をどんどん広げていくよう。

気持ちの持ちようによって、人生は正のスパイラルにも負のスパイラルにもどちらにも転びます。

「苦手な人でもいいところを見つける」、「物事のいい解釈を見つける」「どうにもならないことは受け入れる」といった姿勢が重要です。

こういった気持ちの持ちようについて悩んでいる方は、筆者の座右の書でもあるD・カーネギーの『道は開ける』を一読することをオススメします。

きっと何かのヒントが得られることと思います。

何もしない技術を身につける

これは昨今よく話題になっていますね。

現代人はリラックスの方法を忘れてしまっているため、あえて休む時間をセットする、といった話です。

疲れていたり気持ちがまいっていたりすると、仕事も捗らないし物事も前向きに捉えることができません。

1日の仕事は1日でスッキリ疲れが取れる程度、一週間の仕事は週末で疲れが取れるまでが理想のよう。

睡眠負債を抱えないよう気を配るほか、昼寝や休息の時間を確保することが大切。

ほんの10分程度の休息でもだいぶ違うそうです。

エフォートレスに仕事をこなすには

エフォートレスな思考法ができるようになったら、次は仕事のこなし方をエフォートレスにしていきます。

こちらも気になったものをいくつかピックアップします。

はじめの一歩を気軽に踏み出す。

夢や目標を立てたとき、それは最初はあまりに大きく遠すぎるもので、まるで現実味が沸いてこないかもしれません。

しかし、そんな夢につながる、最小限の一歩を踏み出すことは、誰にでも可能です。

Netflixの創業者リード・ヘイスティングスは、80年代にコンピューター・サイエンスを学び、動画配信のサービスを立ち上げようと思ったそう。

しかしながら、その当時は技術が追いついていなかったので、DVDレンタルサービスとしてNetflixを立ち上げ、技術の革新を待とうということに。

そんな事業の立ち上げの第一歩は、共同経営者のマーク・ランドルフと1枚の中古のCDを買い、封筒に入れて切手を貼り、自宅に送ることだったそう。

無事CDが届くのを確認して、「これいけるんじゃないか?」となったようです。

私自身、今過去に書いた記事をまとめた電子書籍をテーマごとに出版したいと思っているのですが、どうにも気持ちだけで先延ばしにしてしまっています。

さすがに本一冊にまとめることはハードルが高いので、個人的に気に入っている記事や紹介したいことをピックアップすることから始めていこうと思いました。

何が必要かを洗い出す

自分がやりたい、あるいは作り出したいものには、最低限なにが必要であるのかを洗い出すことも重要です。

デザイン思考の原則に、MVP(実用最小限の製品)というものがあるそう。

フィードバックを得るという目的に特化し、機能を最小限に抑えることで、無駄な労力を費やすことなく最初の一歩を踏み出し、顧客の求める製品を作り上げることが可能になるのだそう。

Airbnbは何の飾りもないWebサイトにアパートメントの写真を数点載せるというシンプルな形でサービスを開始したそうです。すると、3人の顧客がレンタルしてくれたそう。

そこから現在のAirbnbにつながっていると考えると、考えさせられるものがあります。

手順を限界まで減らす

物事を行うにあたって、我々はどうしても手順が増えれば増えるほどハードルを感じてしまい、行動が遠のいてしまいます。

そのため、省略できる工程があるのであれば、減らしていった方がより楽に物事をこなすことができます。

ビジネスにおいても同じで、Amazonはかつて、いちいち顧客情報、クレジット番号といったものが入力が必要だった通販サイトの中で、真っ先にワンクリック決済を行えるようにしました。

そうすることで、購入までのハードルが大きく下がり、現在までのAmazonの発展につながりました。

普段の行動においても、最小限のステップは何か、なにを減らせばハードルが下がるのかを考えることが重要です。

私にしても、前述のように「本を完成させる」という目標があるのですが、この本を読むまでは「きれいな表紙を作らないと、あと文面の間にわかりやすい図とか挿絵入れて、電子書籍によくある文面のリンク先の付け方とか勉強して、完成したらkindleの申請の勉強もしないといけないし、あとはうちのサイトに訪れてくれるように、読んでくれた人への特典とか用意しないと………」と、色んな考えが散らかった状態で頭に渦巻いていました。

しかし、冷静になって筋道立てて考えてみれば、必要なのは以下の7つだけでした。

【本の完成までの手順】

1.テーマを決める

2.気に入った記事を選ぶ

3.目次を作る

4.記事を元に目次ごとの文章を作成する

5.タイトルを決める

6.売れてる本の表紙を元にシンプルな表紙を作る

7.PDFに出力する

既存の本のようなリンク付きの文章や図が入っていなくても本としては機能しますし、売れ筋の本の中で最もシンプルなデザインを踏襲して表紙を作れば、一応の体裁は整います。

それに、当たり前ながら、kindleの申請というものは本の完成とは無関係なので、手順にも入ってきませんでした。

完成品がどれだけ不格好でも、行動を起こさないよりずっといいということを今回考えさせられました。

ゼロから始める

物事を進めていると、どうしてもこれまでの進捗や成果物を元に考えてしまいますが、時にゼロベースで物事を考えることもまた重要です。

アップル社のiDVDというソフトの初期の試作品は、これまでの映像作成ソフトにはない美しいデザインと、多機能ながらシンプルという、開発者が自信をもって会議に持ち出した一作でした。

そんな試作品をスティーブ・ジョブズは見たものの、反応は芳しくなく、やがてジョブズはホワイトボードに四角を一つ書き、「これが新しいアプリケーションだ。ウィンドウが一つ。動画をウィンドウにドラッグする。作成ボタンをクリックする。以上。そういうものを作るんだ」と言ったそうです。

試作品のiDVDは、動画作成ソフトは1000ページ以上の説明書が必要なほど複雑なソフトを簡略化した努力作でした。

しかしジョブズはユーザー目線でゼロからスタートして「最低限必要なステップは何か」を考えました。

その結果、素人でも手軽に動画が作成できる、現在のような形が生まれました。

これまでの努力もあるので、どうしてもゼロから考えることは難しい作業ですが、よりよい成果のためには考えることも必要な場面があるかもしれません。

良い失敗を重ねる

「失敗は成功の母」と言いますが、良質な失敗を最短で積み重ねることが非常に大事です。

「クレーマー賞」という人力飛行機の賞に参加したポール・マクレディは、借金を抱えていたこともあり、周囲が「大きく、複雑で、エレガントな飛行機」を作っている中、どんなに醜くてもいいから軽量な飛行機を作ったそう。

肝心なのは、修理、修正、変更、再設計ができること。

結果、周囲がデザインにこだわって製作を続ける中で、マクレディは3ヶ月の間に222回の飛行を行いました。

そして223回目のフライトで、クレーマー賞受賞の課題だった8の字飛行に成功し受賞しました。

体裁にこだわらずに失敗を積み重ねることの重要性を感じます。

ゴミから始める。

ピクサーの元CEOエド・キャットムルによると、「何でも最初は醜いもの」「どんなストーリーも最初はぎこちなく、不格好で、脆弱で、不完全」「ピクサーは監督の醜い赤ちゃんを守るために設立された」とのこと。

ジョブズの伝記でも読んだことがありますが、初期の『トイ・ストーリー』において主人公のウッディは、新しくやってきたバズを追い出そうとする悪役として描かれており、声優を務めたトム・ハンクスも「この保安官はとても性格の悪い男だね」といったことを話していたそう。

そこから試行錯誤を重ねて現在の『トイ・ストーリー』になったのだから、最初から完璧を求めることはむしろ危険なようにも思われます。

創造性をかき立てる手法の一つとして、本の中で「ゼロドラフト」というものが紹介されています。

これは、雑すぎてドラフトの最初のバージョンとも呼べないような、バージョンゼロの草稿を書くというもの。

コツは、とにかく何でも書くこと。

下手くそでもよいので、ただページを連ねていく。

そうやって書いていくと、想像力が驚くほど簡単に湧き上がってくるそうです。

アメリカの詩人マヤ・アンジェロウは言う。

「書くときは、ただ書いている。 そうすると、こいつは本気だなと詩の女神が気づいてく

れるのです。 「はいはい、いま行きますよ」 と。

エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する グレッグ・マキューン (著), 高橋璃子 (訳)

たとえ拙い言葉でも、ただの白紙よりは力がある。

拙い言葉を書きはじめなければ、名作はけっして生まれない。

最初から完璧なものをつくろうとして気が重くなっているなら、単純にハードルを下げ

てみよう。 本を書くのも、曲をつくるのも、絵を描くのも同じだ。

くだらないものをつくる勇気が、インスピレーションを呼び込んでくれる。

不完全さを受け入れ、ゴミをつくる勇気を持てば、私たちは始めることができる。

そして一度始めれば、だんだんマシなものができてくる。

そしていつかゴミの中から、あっと驚くようなブレイクスルーが生まれてくるはずだ。

エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する グレッグ・マキューン (著), 高橋璃子 (訳)

この項が、個人的にはこの本の中で一番の学びでした。

出来上がったものを修正しすぎない

我々はどうしても完璧を求めてしまいがちです。

そのため、良いものにしていこうと、出来上がったものを変更・修正していくことがよくあります。

しかし、修正しすぎないことも重要とのこと。

というのも、ある程度を過ぎた修正は、手間ばかりがかかってクオリティの向上につながらないとのこと。

PayPalの創業メンバーのリード・ホフマン曰く、「最初にリリースした製品が恥ずかしくないとしたら、それはリリースが遅すぎた。製品のリリースについて言えば、不完全こそが完璧」とのことです。

終わりに

いかがだったでしょうか。

著者は大企業を顧客にもつ企業コンサルタントということで、非常に知識も豊富で学びになりました。

この他で学びになったのは、「最新の脳科学によると、「今」として体験される時間は2・5秒」ということ。我々はネットサーフィンで無為に時間を潰してしまったりしますが、SNSやサイトは注意を引く仕組みを作り、無意味な2・5秒が積み重なっていくようにしているとのこと。

このことについても非常に考えさせられます。

ちなみに、今回はエフォートレス思考の後半「エフォートレスの仕組み化」というパートについては紹介していません。

いくつかまとめると、「体系的な知識を得よう」「将来の決断を減らすために、一度の大きな決断をしよう(コテージに毎年の夏旅行するようにすることで、」「よく使うものはまとめておこう(仕事の確認しておくべきことをチェックリストにすることで思考が省略できる)」といったような話です。

気になる方はぜひ本書を手に取ってもらえればと。

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それではー。

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