これをお読の方で、定期的にディズニーシーのシンドバッドのアトラクションで流れる「心のコンパスに従うのじゃ!」というフレーズが頭を反芻するディズニーファンの方はいらっしゃいますでしょうか。
はい、いないですよね。
さて、今回は、キングコングの西野さんの『新・魔法のコンパス』について紹介していきます。
この人の本を読むのは初めてで、正直「変わったことをたくさんしてる炎上芸人」くらいしか印象がなく、この本も正直「他の本のついで」といった感覚で手に取ったのですが、これがなかなかの曲者で、内容はかなり濃くてビビりました。
この本は「お金」「広告」「ファン」という3つに分けて、「個人の時代」と呼ばれている現代で結果を出すための考え方についてまとめています。
今回は、要点を絞ってどうこうというよりも、学びになった部分をわりと自由に取り出していく感じにしていきたいと思います。
それでは、いってみましょう!
職業を掛け合わせて価値を上げろ!
現代はSNSやYouTube等技術の発達があって、「個人の時代」と言われているほど個人が注目を得て影響力という力をつけていく時代になっています。
その個人の時代のなかで重要なのが、「職業の掛け合わせ」というもの。これは個人の「希少価値」を高めていくうえでめっちゃ大事なものになります。
どういうことかというと、芸人で言えば、一万時間の法則を超えて笑いを追求し続けているプロの芸人というのは、吉本だけでもたくさんいるわけです。
そんな群雄割拠の中で注目を集めて売れるということはかなり難易度が高い。
でも、その中で、キンコン西野のように「絵本作家」でもある「芸人」というのはどれだけいるのかと考えると、かなり少ない。
さらに、「絵本作家」でもあり、「オンラインサロン経営」をしている「芸人」となると、もうほとんど存在しなくなる。
そうしていくと、自分の存在が特別なものになり、仕事の幅が広がり、新たにニーズが生まれ、新たな仕事が生まれていく。
たしかに、考えてみれば芸人でもそうですよね。
「外国人」で「企業役員」でもある「芸人」は厚切りジェイソンだけですし、最近は多くなってきましたが、毎日店を渡り歩いてコネを持ってる「美食家」でもある「芸人」というのは、当時アンジャッシュ渡部だけだったわけです。
実際、厚切りジェイソンも渡部も、今はお笑いとは離れたところの仕事も数多く取っています。
外国人の企業役員も美食家も芸人も山ほどいるのに、2人が仕事を得ているのは、「職業の掛け合わせ」をして、高い「希少価値」を持っているからです。
同じように、ビートたけしも「映画監督」や「司会」を行う「芸人」であり、それは当時批判を受けたようですが、事実それで成功し、後続も出ているとのことです。
印税は広告費にまわせ!
この本で個人的に一番面白かったのが、「ノベルティ」の話。
ラジオ番組等で、番組オリジナルのステッカーなどのノベルティがプレゼントされることがよくありますが、あれは一種の「宣伝装置」だとのこと。
番組のロゴが入ったステッカーをファンがノートPCの裏や車の背中のガラスに貼ることで、それを見た人に番組の知名度や人気を知らせるという広告効果がある。
(そう考えたら、時々車とかシャツに入ってるのを見る「水曜どうでしょう」のロゴってすごい宣伝効果だ……)
実は、起業家の人達が出しているビジネス書も、この「ノベルティ」と同じだとのこと。
ビジネス書によって自分の会社やそのサービス内容の認知度を上げる。
さらに、その本の印税をすべて「広告費」に回して、ひとりでも多くの人に本を読んでもらうことで、自社の顧客獲得につなげているわけです。
つまり、印税が目的ではなく、「認知を拡げて、顧客を増やすこと」が目的。
また、先の項にあったように複数の仕事をしていると、複数の収入源を得ることになります。
そのため、印税がメインの収入源とはならず、広告費にまわすということもできるようになるわけです。
西野式・現代のマーケティング 手法
その他、マーケティングの部分で、学びになったことが複数あったので、それは突貫要約で紹介していきます。
ニュースを出すな!ニュースになれ!
注目を得るには、ニュースを出すのではなく、ニュースになるようなマーケティングをする。
例えばキンコン西野は、個人で新宿駅の看板枠を買った。企業が買うなら普通だが 、個人で買うことでニュースになる。
また、書籍の宣伝のために新聞広告も個人で買ったが、そのときはプロローグを全文掲載することで注目を得て、広告の賞も受賞した。
本から離れるけど、編集者の箕輪は自社の社用車を買うとき、トゥクトゥクにしたらしいぞ。同じ金額で軽自動車を買うよりも、それをトゥクトゥクにするだけで話題になるのだ。
悩みを共有することで人が集まるぞ!
⇒「○○がしたい」「○○で困っている」ということを、「どうすればいいかな」と他の人に投げかける。すると、フォロワーたちがアドバイスをくれる。その時点で、フォロワー自身がそのプロジェクトの当事者になる。
そうすることで、支持者を集められるぞ。
セカンドクリエイターを握れ!
現代では物を買うにも、販売された後、単純に広告を見て購入をするという形になっていない。
今はSNSにその分野に関しての情報発信をしている人(=セカンドクリエイター)がいて、その人の発信を見たり、影響を受けたりして購入をする。
情報発信するにも、その人たちが反応しやすい形の情報発信を心がけよう!
1日をコーディネイトしろ!
例えば行きたい観光地があったとして旅行を考えていたとする。でもその行き先がディズニーランドでもない限り、その目的の観光地を見て回るだけで「丸一日潰せた」ということにはなかなかならない。同時に見て回ったりするものも必要になる。
だから、押し出す側が「目的の○○に行った後は、近くにある○○で○○体験をして、その後は有名店の○○でディナーをして……」と、見どころをいくつも押さえて一日のプランをコーディネイトしてあげると、その旅行をする決断の確率がぐっと上がる。
集客には無難なデザインを
広告を打つにも、デザイン性の高いお洒落な紙面だと、心理的な敷居が高くなり効果が薄くなる。
逆にちょっと目立たないような無難なデザインの方が、親しみを感じて効果を発揮しやすい。
満足度一期待度=リピート度
⇒リピートにつなげるためには、実際に体験した満足度が、期待値を上回る必要がある。そのため、リピートのためには「期待値のコントロール」が重要。
おわりに
いかがだったでしょうか。
この本は文章自体、子どもでも読めるくらいの簡単な言葉しか使っておらず、文章自体も短めなので、ものの数十分もあれば読み終わることができます。
(そしてこれが奇しくも、今の日本社会のニーズと合致してたりするわけです)
「最近本読めてないけど、習慣づいてないから今買っても積んじゃうだろうなぁ」という方は、ここから始めてみてもいいのではないでしょうか。
それではまたー。