読んだ本を要約してはネットの海に放り込んでいる当ブログ。
さて、唐突ですが、みなさんはデザインしてますでしょうか。
年々求められる基準が高くなってきているこの現代社会。
これをお読みの方にも、「資料を作らなきゃいけないけど、なんかダサい……」「チラシを作ってみたけど、素人感が拭えない……」と嘆いている人は少なくないはず。
かくいう筆者も、最近仕事で広報誌や資料を作る機会が増えてきたわけです。
「よし、ここは一丁カッコいいやつを作ってやろう」と意気込んでExcelやWordを開くものの、出来上がったものを見ると、なんというか……ダサい。
どこがダサいのかは自分でもよくわからない。でも、プロが作ったものと並べると、明らかに何かが違う。この「何か」が言語化できないから、改善のしようがないわけです。
そんな、デザインセンス壊滅的な筆者が「目に留まりやすくて読みたいと思わせるデザイン」を目指して手に取った本がこちら。
Robin Williamsの『ノンデザイナーズ・デザインブック』という本。
こちらは「デザイナーでない人のための、デザインの定番基本書」として、第1版発売から20年以上も売れ続けているロングセラーです。
著者のRobin Williamsは、デザインやコンピュータ関連の書籍を25年以上にわたって執筆してきた方で、「4つの基本原則」を最初に提唱したのもこの本だとのこと。
読んでみた感想としては、「なんで学校で教えてくれなかったんだ」というレベルで実用的な内容でした。
今回は、この本のメインである「デザインの4つの基本原則」について、図解を交えながら解説していきたいと思います。
それでは、いってみましょう!
※ちなみに、この記事には当ブログ筆者の解釈も少なからず含まれていますので、ご了承ください。
「センスがないからデザインできない」は本当か?
デザインと聞くとどのようなイメージがあるでしょうか。
「センスが必要」「美大出身じゃないと無理」「生まれ持った才能」……こんなイメージを持っている人は多いはず。
僕自身もそう思っていたわけです。
だからこそ、資料がダサくなっても「まぁ、センスないから仕方ないよね」と自分を慰めていた。
しかし、この本の冒頭で著者はこう言っています。
「この本がデザイン学校の4年間の代わりになる、と言うつもりはありません。また、この小さな本を読めば、自動的に優れたデザイナーになれる、と言うつもりもありません。しかし、あなたがページを見る目は確実に変わるでしょう」
つまり、デザインには「知っているかどうか」で差がつく部分がある、ということ。
センスや才能ではなく、「原則」を知っているかどうか。
その原則というのが、これから紹介する「近接」「整列」「反復」「コントラスト」の4つなわけです。
デザインの4つの基本原則
『ノンデザイナーズ・デザインブック』では、デザインの基本として4つの原則を挙げています。
・近接(Proximity) ⇒ 関連する要素を近づける
・整列(Alignment) ⇒ 見えない線で揃える
・反復(Repetition) ⇒ デザイン要素を繰り返す
・コントラスト(Contrast) ⇒ 要素に差をつける
それぞれがすごく大事な原則なので、1つずつ詳しく解説していきます。
1. 近接(Proximity)──関連する要素をまとめろ
近接とは、関連する情報同士を近づけて配置するという原則です。
これだけ聞くと「当たり前じゃん」と思うかもしれません。でも、この「当たり前」ができていないデザインが世の中には溢れかえっています。
たとえば、名刺を想像してみてください。
【悪い例】均等配置の名刺

一見整っているように見えます。
でも、すべての要素が均等に配置されているせいで、どこからどこまでが「ひとかたまりの情報」なのかがわかりません。名前と肩書きの関係性も、会社名と住所の関係性も、全部同じ距離感で並んでいる。
【良い例】近接を意識した名刺

変わったのは余白の入れ方だけです。
「名前+肩書き」「会社名+住所」「連絡先」という3つのグループが、余白によって視覚的に分離されています。これだけで、見た瞬間に「あ、3つの情報ブロックがあるな」と脳が認識できます。
要するに、余白が「ここで情報が区切れますよ」というサインになるわけです。
もう一つ身近な例として、スーパーのチラシを挙げます。

左半分を見ていただくと、視線があちこちに飛んでいないでしょうか?
これは、「国産トマト」と「98円」という文字とが離れているため。
この2つが離れた場所に配置されていたら、読者は「この98円はどの商品の値段だ?」と一瞬迷うことになります。
でも、右の画像のように、「国産厚切り肉」のすぐ横に「900円」と書いてあれば、迷いようがありません。
近接の原則を守るだけで、「読者が迷う時間」を限りなくゼロに近づけられます。
2. 整列(Alignment)──見えない線で揃えろ
整列とは、ページ上のすべての要素を、意識的に配置するという原則です。
言い換えると、「なんとなく」で配置してはいけないということ。
ダメなデザインの典型例として、「中央揃えの乱用」があります。
【悪い例】全部中央揃え

全部が中央に寄っているので、一見まとまっているように見えます。
しかしながら、よく見ると各行の左端がバラバラで、視線の流れが安定していません。
【良い例】左揃えで統一

左端に見えない線(ガイドライン)が通っていて、すべての要素がそこに揃ってます。
これだけで、視線が上から下へスムーズに流れるようになります。
本書では、この「見えない線」のことを「強い線」と呼んでいます。
中央揃えが悪いわけではありません。ただ、中央揃えは「強い線」が生まれにくいので、初心者は左揃えか右揃えを基本にした方が失敗しにくいとのこと。
プレゼン資料等で「なんかまとまりがないなぁ」と感じたら、まずはすべての要素が同じ線に揃っているかをチェックしてみてください。
3. 反復(Repetition)──デザイン要素を繰り返せ
反復とは、デザイン上の何かの特徴を、作品全体を通して繰り返すという原則です。
これは、一枚のチラシというよりも、複数ページにわたる資料や、ブランド全体で特に効果を発揮する。
たとえば、プレゼン資料を作るとき、一枚目の表紙がこんなスライドだったとします。

これに続ける2枚目で、例を出していきます。
【悪い例】ページごとにバラバラ

背景がピンク主体、文字が青主体だったものが、急に変わってしまいました。
これだと、見ている人は「同じ資料なのか?」と混乱してしまいます。
【良い例】ルールを決めて繰り返す

同じデザイン要素を繰り返すことで、資料全体に統一感が生まれます。
これは企業のブランディングでも同じです。マクドナルドを見れば、店舗の看板も、紙袋も、CMも、すべてに「赤と黄色」「あのアーチ」が繰り返されている。だから、遠くからでも「あ、マックだ」とわかるわけです。
反復の原則を使うときのコツは、繰り返す要素を「強く」すること。
控えめに繰り返しても気づいてもらえません。だから、色なら同じ色をしっかり使う。フォントなら同じフォントを徹底する。中途半端な繰り返しは、むしろ混乱を招くので注意が必要です。
4. コントラスト(Contrast)──差をつけろ、思い切り
コントラストとは、異なる要素を大きく違わせるという原則です。
これが4つの原則の中で最もインパクトがあり、最も失敗しやすい原則でもあるとのこと。
今回は、広報誌の見出しを例に取ります。
【悪い例】差が中途半端

全体的に文字同士の大きさの差がなく、パッと見て「どっちがタイトルでどっちが見出しかわかりにくい」かと思います。
これが「臆病なデザイン」の典型例です。
「見出しだから少し大きくしよう」「でも大きすぎると目立ちすぎるかな……」という心理で、中途半端な差になってしまっています。
あとは、デザイン素人にありがちなのが、空白を埋めようとする点。
本書でも語られていますが、空白は空白として非常に重要な役割を持っています。
【良い例】思い切って差をつける

コントラストの鉄則は、「やるなら思い切りやれ」です。
2つの要素が似ているなら、むしろ完全に同じにしてしまった方がいいです。中途半端に違うと、「これは意図的な差なのか、ミスなのか」が読者に伝わりません。
コントラストをつける方法はたくさんあります。
・サイズ:大きい vs 小さい
・太さ:太字 vs 細字
・色:暖色 vs 寒色、濃い vs 薄い
・形:丸 vs 四角
・余白:詰まっている vs ゆとりがある
大事なのは、「これは違うものです」と読者にはっきり伝わるレベルの差をつけること。
思い返してみると自分自身、資料を作るときに「見出しと本文のサイズ差が足りない」という失敗を何度もしてきました。
迷ったら、思っている以上に差をつける。
これがコントラストの基本です。
4原則の組み合わせが真価を発揮する
ここまで4つの原則を個別に紹介してきましたが、本書で強調されているのは、これらは単独で使うものではないということ。
たとえば、先ほどの名刺の例。

これを、
・近接で情報をグループ化して
・整列で左端を揃えて
・反復でフォントや色を統一して
・コントラストで名前を大きくする
4つの原則を組み合わせて使うことで、初めてプロっぽいデザインが生まれます。

逆に言えば、「なんかダサいな」と感じるデザインは、この4原則のどれか(または複数)が欠けていることが多いです。
資料を作ったら、チェックリストのように以下を確認してみてください。
・近接:関連する要素は近くにまとまっているか?
・整列:すべての要素が「見えない線」で揃っているか?
・反復:色やフォントは統一されているか?
・コントラスト:重要な要素は十分に目立っているか?
続きは次の記事で……
いかがだったでしょうか。
今回は『ノンデザイナーズ・デザインブック』の中から、4つの基本原則に絞って紹介しました。
正直なところ、この4原則を知っただけで、自分の作る資料の「どこがダメなのか」の片鱗がわかるようになってきた感覚があります。
次回は、この本のもう一つの柱である「活字(フォント)のデザイン」について解説します。
オールドスタイル、モダン、サンセリフ……といった書体の分類から、日本語フォントへの応用まで、これまたすぐに使える知識を紹介していく予定です。
もし最後まで読んで気になった方は、一読の価値は絶対にあると思うので、是非ともどうぞ。
本書の中では、この記事で筆者が紹介したようなデザイン素人の例ではなく、プロが具体例を用いて改善案まで紹介しています。
一生使える知識が手に入るので、オススメです。
それではー。



