『没頭力』を読んだので、没頭できない奴らに講釈する

書籍

今日は、ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんがニコ生の放送で話されたことまとめた著作『没頭力』の内容を要約、紹介したいと思います。

ここ最近、どこか欠乏感というか、なにかをしていても、「なんか満たされないなぁ」と感じることが多々あったわけです。

そんななかでこの本を手にしたところ、「あぁ、なるほど!今の自分に足りないのは没頭力だったんだ!」と自分の今の状況について納得させられたうえ、具体的に「こうしていけばいいんだ!」というのがわかってナイスな感じでした。

ちなみに、「没頭するための要素」として8つ紹介されていたんだけれども、そのすべてが「ゲーム」の比喩で説明可能で、あらためて「ゲームってすげーしおそろしいなぁ……」と考えさせられました。

それでは、僕と同じく「最近なんか毎日つまらないなぁ」と思っている方に向けて、学びになったところを紹介していきたいと思います。

幸福の要素

全米心理学学会の会長のマーティン・セリグマンという人が提唱したという「ポジティブ心理学」によると、人間が幸福を感じるための要素は「快楽」「意味」「没頭」の3つであるとのこと。まとめると、以下の通り。

「快楽」……楽しかったり気持ちいいと感じること。美味いもの食べて、女の子とイチャイチャして……みたいな。

「意味」……人生を有意義なものにしようとする考え方。有名になりたい、権力を持ちたい、ボランティア等社会貢献をしたい等々。承認欲求もここに含まれる。

「没頭」……時間を忘れてしまうほど夢中になっている、強烈な集中状態(=フロー)。そしてその集中が終わるとスッキリする。

ちなみに、予防医学学会の「幸せ」の定義は、「ワクワクして目が覚めて、夜満ち足りて寝る」とのこと。

ワクワクして目が覚めるって、あんまり体験したことがなかったけれども、そこに到達できるのであれば、できる限りコミットしていきたいと思えるのではないでしょうか。

没頭するための条件

『フロー体験入門』の著者M.チクセントミハイ(色んな本に出てくるわりと有名な人)によると、フロー状態を構成する要素は8つあり、それを『没頭力』の著者はかみ砕いて説明しています。

「フロー状態」については、なんとなくわかっている方もいるかと思いますが、ここで定義するのもあれなので、詳しくは適当に調べていただいてはと思います。

それはさておき、気になる「フロー状態を構成する要素」については、すべて引用するのもあれなので個人的な解釈も伴っていますが、おおよそ以下の通り。

①ゴールとルールがはっきりしていて、フィードバックが早いこと

なにをすればゴールで、そのための守るべきルールや手順がはっきりしている。そして、結果がすぐにわかること。
 例えばゲームは、クリアの条件なんかも明確で、そのためのルールや手順もはっきりしている。それにやったらすぐ結果が表示される。
 あるいはすべてのギャンブルもこの条件にあてはまる。

②目の前のことに100%集中していること

 他のことを考えたり気を散らしたりせずに、目の前のことに集中すること。一種のマインドフルネス。
 RPGのレベル上げといった単純作業に集中しているときもこれ。

③活動と意識の融合が起こる

 意識をしなくても活動が行えること。例えば、楽器の演奏や格闘ゲームのコマンド入力は、馴れてくると考えなくてもそれらを行うことができる。

④自分というものをなくしていること

 不安や楽しいといった自分の感情や、空腹感や痛みといった身体のフィードバックすら忘れている状態。頭をフル回転させてスピーチや発表をしているときや、全力でスポーツに打ち込んでいる状態など。

⑤時間の感覚がなくなっていること

 長時間しているのに「うわっ、もうこんな時間!」と短く感じたり、逆に時間が長く感じたりすること。
 個人的には、ゲームは前者で、急いで本を読んでいるときは後者であることが多いです。

⑥その場の状況を自分でコントロールできていること

 まんまだけど、その場の状況を自分でコントロールできていること。
 逆に、受け身の行動はフロー状態にならない。テレビやSNS等(←主体性とか、目的を持って見てれば別だけど……)

⑦その行動自体が目的になっていること

 行動そのものに価値を見いだしていること。
 例えば、RPGのレベル上げをするのが楽しい人でも、「10レベル上げて○○円」とか、頼まれてやったものだと多分同じようには楽しめないのでは? それは、お金が目的になっているから。
 そういえば、モノマネ芸人の人が「素人のときの方がモノマネをしていて楽しかった」「だって、プロになったら、仕事のために新しいモノマネを考えないといけないから」と言っていたのを思い出したけれど、つまりはそういうことなのかも。

⑧自分の持っているスキルと課題のバランスが取れていること

 「ちょっとがんばれば達成できるんじゃないかな?」というレベルの課題に取り組んでいること。
 ゲームでいうと、無理ゲーすぎてもつまらないし、チートを使ってもつまらない。

ちなみに、エクストリームスポーツの世界では「自分のスキルより4%難しいことに挑戦するときが、一番フローに入りやすい」とのこと。

石川善樹さんの没頭に入る方法

これは完全にメモですが、石川善樹さんの没頭に入る方法についての手順。

①まずはストレスをかける(交感神経を働かせる)
②次に一気にリラックス(副交感神経を働かせる)
③目の前のやるべき行為に集中する

①不安→②開き直り→③没頭

自分にとって価値があるものに対しては不安が生まれる。そして、そこに立ち向かわないと没頭は訪れない。
逆に没頭すれば不安は訪れない。

開き直り。エクストリームスポーツやプログラマーに「どうしてできるようになったんですか」と問うと、「やらなきゃ死ぬから」と答える
⇒必要性を感じれば、嫌でも没頭する

テトリスは「ゲーム」ではなく「実験」

あとこの本のなかで面白かったのが、テトリスの作者であるアレクセイ・パジトノフさんに取材した人の話。

取材の人が、「あなたの作ったゲームについて取材させてください」と言ったところ、パジトノフさんが怒って「あれはゲームではない。実験だ」と言ったらしいのです。

どういうことかというと、テトリスは単なるゲームではなく、「人間はちょっとずつ違う刺激を与えると、延々と同じことをやり続けるという実験」だったそう。

パジトノフさんの話が本音か後付けかはともかくとして、この話は本当に人間の本質を突いてるなぁと思ったので、ここで共有だけさせてもらいます。

さて、いかがだったでしょうか。

今回は、話の根幹となる一部分を紹介しただけなので、気になる方は本を手にとっていただくのがよいかと。それほど長いものではないですし、会話形式で読みやすいです。

それではー。

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