ドキュメンタリー映画って観ることありますでしょうか?
割と好みが分かれるジャンルではありますが、今回観た映画がめっちゃ面白かったので紹介したいと思います。
それがこちら。
『スーパーサイズミー2』という映画。
前作となる2004年に公開された『スーパーサイズミー』は映画監督であるモーガン・スパーロック氏本人が1日3食ファストフードだけを30日間食べ続けて、どのような健康被害が出るかを記録したドキュメンタリー映画ですが(この作品もめっちゃおすすめ)、本作はその十数年後、自身が自らファストフード店を開業するために奔走する様子を記録した内容になっています。
日本でもそうですが、アメリカでも年々健康意識が高まっているようで、マクドナルドでもサラダを取り扱う等、健康を意識した企業戦略が練られています。
スパーロック氏もまた、健康的で誠実なファストフード店を作るため、様々な企業にコンサルティングを受け、その過程で養鶏場を間借りして飼育を始めたりもするわけですが、そうする中で業界の内情が段々と明るみにされていく様が面白かったです。
今回は、そんな本作で面白かった点を3点まとめて紹介していきたいと思います。
出来過ぎたアメリカのコンサル企業体系
以前紹介した『週4時間だけ働く』の筆者はサプリメント会社の経営でその生活を得ることとなりましたが、その商品作りは外部の製薬会社に外注するだけで、それ以外の経営の流れについても、軌道に乗っていけば次々に外注していく手段を取り、最終的に週4時間だけ仕事をするだけで成り立つようにするというものでした。
逆を言えば、あらゆることを外注できてしまうほど、もう既にそういった企業が存在するわけです。
今回の映画でも、モーガン・スパーロックは最初企業コンサルに相談に行くところから始まります。
そこで「健康」「ファストフード」といったいくつかのワードを出してコンサルに相談した結果、売れる起業ストーリー作りのために、自ら養鶏場を開くに至ったわけです。
その後、ファストフードのメニュー作りも、有名フランチャイズのメニューを生み出してきたプロのレシピ作りの企業に外注し、店の内装についてもコンサルと他のファストフード店を巡りながら一緒に決めていきます。
今回、スパーロックは最初の発案以降、メニューから店の名前に至るまで、開店までほとんどすべてコンサルに提案されたものから選び、実行しています。
それだけで開業に至れるほど、社会は発達していることに今回とても驚きました。
企業が使う巧みなハロー効果
心理学の用語で「ハロー効果」というものはご存知でしょうか?
ハロー効果とは、何かを評価する際、目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められてしまうという、一種の認知バイアスです。
例えば、高学歴な政治家は、そうでない政治家に比べて仕事が出来そうな印象を持たないでしょうか?
実際には学歴と実務能力は関係がないわけですが、そういった印象を持ってしまうのがハロー効果です。
ちなみにハローというのは、神や仏の背後に描かれている光輪のことを指します。
映画内では「健康ハロー」と呼ばれていますが、そんなハロー効果が、実はファストフードの企業戦略でも多く使われています。
例えば、マクドナルドでは現在サラダが売られていますが、これがあることで、実際に注文しなくてもハンバーガーやポテトに対して「自分は健康的なものを食べている」というイメージを持ってもらえる効果があるとのこと。
他には、野菜を映えるようにバーガーに挟んだり(実際には野菜が2、30g増えたところで健康にほとんど影響はない)、グリルで焼いたような焼き色をつけたり(日本ではどうかわからないが、アメリカ人には焼き跡に健康的なイメージを持つらしい)、「フライド」という言葉はジャンクな響きだから「クリスピー」と言い換えたりその手法は様々。
店内にしても、緑を配色することで健康イメージを出したり、実際にはあり得ないような綺麗な農場の画像を店内に張ったり、健康的な売り文句を壁に載せたりと、その企業努力には驚かされるばかりです。
あとは、「健康ハロー」な言葉は面白かったですね。
「ナチュラル」「フレッシュ」といった定義のない曖昧な言葉を前面に押し出したり、アメリカではホルモン剤の使用が禁止されているのにあえて「ホルモン剤不使用」を謳ったり。
日本でもわざわざ「遺伝子組み換えでない」や「無添加」を前面に出しているものが売られていたりしますよね。
あとは、よく「手摘みレタス」とか言いますが、レタスを収穫する際は基本手なのでわざわざ言うまでもないわけです。
これはどちらかというとシズル効果かもしれませんが。
養鶏場の鶏とホルモン剤について
養鶏場で実際に鶏を育てるパートもかなり面白かったです。
かつては鶏が2.7kgまで成長するには20週間かかったそうですが、度重なる品種改良の結果、今では2.7kgまで成長するまでわずか6週間しかかからないとのこと。
これも鶏にとっては大変な面が多く、急な成長で丸々と太ってしまうので、骨が耐えきれずに折れたり、心不全や病気で死んでしまう個体もかなりの数いるとのこと。
しかし、養鶏場としてはそれも家畜の餌として出荷できるので全然問題はないようで、どうやらこれからもこの鶏にとってかわいそうな現実は続いていきそうです。
ちなみにどうやら日本でもほとんどの養鶏場はこれと同じ品種を飼っているとのことなので、ほぼ状況は同じです。
あと余談ですが、筆者が昔「ブラジル産の鶏って安全なんだろうか………。ホルモン剤漬けって聞いたことあるし………」と色々調べていた時、「鶏は品種改良が進んでいて短期間で成長するのでホルモン剤を打つ必要がない」という結論の記事を見て安心したことを思い出しました。
そして、もしホルモン剤を恐れている方には悲しいニュースなのですが、日本ではホルモン剤の使用が禁止されているものの、海外では一部禁止の国も多く、国産以外の肉を食べていれば知らないうちにホルモン剤を摂取している可能性が非常に高いようです。
というのも食肉の輸出大国の多くはホルモン剤に規制をかけておらず、特に米国産の牛肉は99%がホルモン剤を使用しているという衝撃の事実。
いやはや、知らなければよかったということは世の中にはあるもんですね。
どのようなジャンクフード店を開業するのかは本編で!
これ以上はネタバレを避けるために伏せますが、他にもアメリカの鶏肉市場の勢力図や養鶏場の内部事情等、興味深い話が数々ありました。
あとは、そんな内部事情や健康ハローを知り尽くしたスパーロック氏が、一体どんなファストフード店を出店するのかは見ものです。
そちらはぜひ本編で確認してもらえればと。
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